microSDカードの選び方とオススメ3選 | Raspberry Pi

Raspberry Pi(ラズベリーパイ、以下ラズパイ)を使うとき、「どのSDカードを選べばいいのか」という疑問が浮かびませんか?

この記事では、ラズパイで使うmicroSDカードの選び方と、筆者おすすめのmicroSDカードを紹介します。

この記事でわかること
  • ラズパイで使うmicroSDカードを選ぶときの基準
  • ラズパイにおすすめのmicroSDカード

先に結論!

記事が長いので、先に結論を書いておきます。

ラズパイに最適なmicroSDカードは……
  • 8GB以上のもので容量1GBあたりの価格が安いもの
  • 最低限UHS-I U1に対応したもの
  • 保証が付いているもの

この条件を満たしているmicroSDカードを選んでおけば安心してラズパイを使えると思います。

それでは、失敗しないmicroSDカードの選び方を見ていきましょう。

microSDカードを選ぶ際の3つのポイント

今や100円均一でも購入できるmicroSDカードですが、見た目は一緒でも価格や性能は異なってきます。

microSDカードを選ぶ際のポイントは次の3つです。

microSDカードを選ぶ際の3つのポイント
  1. 価格&容量
  2. 読み書きの速度
  3. 保証の有無

では、各ポイントについて順に解説していきます。

1. 【価格&容量】容量は最低でも8GB以上、コスパを考えると64GB以上のものを選ぶ

まずはmicroSDカードの容量です。

ラズパイの公式ガイドには「標準イメージを使う場合は8GB以上、liteバージョンのイメージを使う場合は4GBを推奨」と記載されているため、microSDカードの容量は最低でも8GBあれば一応動かすことができます。

ただし、普段からラズパイを使っている私の感覚では、8GBではすぐに容量がいっぱいになってしまうように感じます。特に動画を扱うような使い方だと8GBなんてあっという間に消費されてしまいます。

microSDの容量は、大きく分けてOSと初期アプリ、追加アプリ、ユーザーデータの3階建てで考えると良いです。

OSと初期アプリに必要な容量

まず、OSと初期アプリの容量について考えます。

ラズパイはRaspberry Pi Pico / Pico W を除き、OSをインストールすることから始めます。

標準のRaspberry Pi OSを例にあげると、通常のOSイメージで約4GB、liteバージョンのイメージで約2GB、Fullバージョンだと約12GBがOSと初期アプリだけで消費されます。

FullバージョンのRaspberry Pi OSには多種多様のアプリがあらかじめインストールされているため、容量もかなり大きくなります。

また、個人的な感想にはなりますが、FullバージョンのOSイメージには「これは使うことないだろうな」と思えるアプリまで含まれていますので、FullバージョンのOSイメージは使わず通常のOSイメージで始めて、あとから必要なアプリをインストールする方がムダがないと思います。

OSと初期アプリに必要な容量まとめると、

  • 通常のRaspberry Pi OSでは4GB
  • liteバージョンでは2GB
  • Fullバージョンでは12GB

となります。Raspbery Pi OSのFullバージョンは利用頻度が高くないと考えると、OSと初期アプリに4GB程度を確保しておくと良いでしょう。

追加アプリとユーザーデータに必要な容量

次は追加のアプリとユーザーデータに必要な容量です。

ラズパイを単純な電子工作で使う場合は、開発環境の構築とソースコードを合わせたとしてもそこまで容量は消費しません。せいぜい4GB程度を確保しておけば問題ないと思います。

しかし、センサーで取得したデータやカメラモジュールで撮影した写真や動画をmicroSDカードに保存していくような使い方だと、その分だけ多くの容量を使います。

また、電子工作ではなく、Webサーバーやメディアサーバーなどのサーバー用途でラズパイを利用する場合、追加するアプリ(ソフトウェア)や取り扱うメディアの量によって必要となるmicroSDの容量も異なってきます。

したがって、追加アプリとユーザーデータに必要な容量はケースバイケースになります。取り扱いたいデータによって容量を考えると良いでしょう。

追加アプリとユーザーデータに必要な容量をまとめると、

  • 単純な電子工作で使いたい場合は4GB
  • 写真や動画、サーバー用途で使う場合は4GB以上

となります。

なお、ラズパイが扱えるmicroSDの最大容量は、手元の環境で試した限りでは1TB(1000GB)までは利用できました。これ以上の大容量のmicroSDカードが使えるかどうかは試せていませんが、ネットの情報を見ると2TBのものも利用できるようです。

初代Raspberry Pi、Raspberry Pi 2、Raspberry Pi Zeroは256GBの上限に注意

初代Raspberry Pi、Raspberry Pi 2、Raspberry Pi Zeroでは256GB以上のSDカードを扱うことができず、起動に失敗してしまいます。初代Raspberry Pi、Raspberry Pi 2、Raspberry Pi Zeroを使う場合は256GB以下のSDカードを購入しましょう。

1GBあたりの価格を考えると64GB以上のものがコスパ良

microSDカードの価格をAmazonなどで調べてみると、容量が小さいからといって安いわけではないことが分かります。

2023年4月現在、1GBあたりの価格が安いのは64GBのmicroSDカードです。

少し前までは32GBのmicroSDカードが1GBあたり最安だったのですが、今では64GB以上のものが市場に出回っているということでしょう。

microSDカードの容量まとめ

ラズパイを動かすのに必要なmicroSDカードの容量をまとめると、

  • 単純な電子工作で使いたい場合は8GB
  • サーバー用途では8GB以上
  • 1GBあたりの価格で考えると64GB以上がコスパが良い

ということになります。

ちなみに私の場合、容量はあまり気にせず、購入時点で1GBあたりの価格が安いものを中心に探すことが多いです。

2. 【読み書きの速度】UHS-I U1に対応したものであればストレスが少ない

必要な容量の次はデータの読み書き速度についてです。

ラズパイで使うmicroSDカードは速いに越したことはありません。

データの読み書き頻度が少ない電子工作などを扱う場合は遅いSDカードでも動作には影響がないかもしれませんが、それでも電源を入れてからOSが立ち上がるまでの時間が長くなれば、それだけ作ったものが動き始めるまでに時間がかかってしまいます。

ファイルの読み書きのストレスを減らすためにも、できるだけ速いmicroSDカードを選ぶことをおすすめします。

さて、AmazonなどでSDカードを探してみると、”スピードクラス” や “UHS” 、”アプリケーションクラス”など、「なんかよく分からない」仕様が書いてありますよね。

実はこれ、SDカードの読み書きのスピードに関する規格なんです。

SDカードには読み書きのスピードに関する規格が複数存在していて、それぞれ規格が生まれた時期や規格の対象が異なっています。

これが初心者にとって結構ハードルの高い部分だったりしますので、ここで速度に関する規格をざっくりまとめていきます。

最大転送速度

microSDカードを含むSDカードには最大転送速度に関する規格が存在します。

ラズパイが対応している最大転送速度の規格は次の通りです。下に行けば行くほど最大転送速度が速くなります。

規格名最大転送速度
DS(デフォルトスピード)12.5 MB/s (秒間12.5MB)
HS(ハイスピード)25 MB/s(秒間25MB)
UHS-I50 MB/s または 104 MB/s(秒間50MBまたは104 MB)
最大転送速度

この他にもUHS-IIやUHS-IIIなどの最大転送速度の規格がありますが、現在流通しているラズパイでこれらの規格に対応しているものはないため、上記の3つだけを知っていればOKです。

なお、DSとHSに関してはmicroSDカードの表面に記載されないことが一般的で、UHS-Iに関してはmicroSDカードロゴの横に「I」という表記がされています。

つまり、microSDロゴの横に「I」と書いてあればUHS-I、書いていなければHSかDSということになります。

microSDカードを選ぶときは、UHS-Iに対応したものを購入すると読み書き速度のストレスが減ります。

スピードクラス

先ほどの最大転送速度とは違い、SDカードには「最低保証速度」に関する規格も存在します。

最低保証速度に関する規格は「スピードクラス」と呼ばれ、最大転送速度よりも細かい規格となっています。

以下、スピードクラスについて順番に見ていきましょう。

スピードクラス

まずは元祖読み書き速度の規格、スピードクラスです(スピードクラスの中のスピードクラスという規格です)。

スピードクラスは2006年に定められた、書き込み時の最低保証速度に関する規格です。

スピードクラスには4種類のクラスが含まれていて、それぞれ以下のように最低保証速度が決められています。

スピードクラス最低保証速度(書込み)
Class 22 MB/s(秒間2MB)
Class 44 MB/s(秒間4MB)
Class 66 MB/s(秒間6MB)
Class 1010 MB/s(秒間10MB)
スピードクラスごとの最低保証速度

筆者は過去にAndroidタブレットの開発をおこなっていた関係で、多くのmicroSDカード所持しておりますが、Class 10以外のmicroSDカードをラズパイで使うことはめったにありません。正直遅すぎて使い物にならないからです……

ラズパイで使うときは、最低でもClass 10に対応したものを選びましょう。ストレスから解放されます。

UHSスピードクラス

UHSスピードクラスは2010年に定められたスピードクラスです。

2023年4月現在、UHSスピードクラスには次の2種類が存在します。

UHSスピードクラス最低保証速度(書込み)
UHSスピードクラス1 (U1)10 MB/s(秒間10MB)
UHSスピードクラス3 (U3)30 MB/s(秒間30MB)
UHSスピードクラスごとの最低保証速度

UHSスピードクラスの数字が高い方が書き込み速度が速くなります。

気になるのはスピードクラスのClass 10とUHSスピードクラス1の違いです。

数字上はどちらも10MB/sの書き込み速度ですが、先に説明した最大転送速度の関係で書き込み速度はUHSスピードクラス1の方が速いです。

最低保証速度は10MB/sですが、パフォーマンスはUHSスピードクラス1の方が高いということを覚えておけばOKです。

また、UHSスピードクラス1に対応している場合、同時にスピードクラスのClass 10にも対応していることになります。

ややこしいことこの上ないですね。

ラズパイで使う場合、UHSスピードクラス1(U1)に対応していれば速度に関しては問題ないです。

ビデオスピードクラス

ビデオスピードクラスは2016年に定められたスピードクラスで、ビデオカメラでの撮影をターゲットに考えられた規格です。

ビデオスピードクラスには2023年4月現在、以下の5クラスが存在します。

ビデオスピードクラス最低保証速度
ビデオスピードクラス6 (V6)6 MB/s
ビデオスピードクラス10 (V10)10 MB/s
ビデオスピードクラス30 (V30)30 MB/s
ビデオスピードクラス60 (V60)60 MB/s
ビデオスピードクラス90 (V90)90 MB/s
UHSスピードクラスごとの最低保証速度

なお、「ビデオ」と付いているからビデオカメラ以外では使えないの?と思いがちですが、ビデオスピードクラスはあくまで最低保証速度の規格ですので、ビデオスピードクラスに対応しているmicroSDカードも問題なくラズパイで利用できます。

アプリケーションパフォーマンスクラス

スピードクラスの最後はアプリケーションパフォーマンスクラスです。

アプリケーションパフォーマンスクラスは2016年に定められたスピードクラスで、主にAndroidスマホの外部ストレージのような、ランダムに読み書きが発生する機器で1秒間に読み書きできる回数を定めた規格です。

アプリケーションパフォーマンスクラスには以下の2クラスがあります。

アプリケーションパフォーマンスクラス読み書き回数
アプリケーションパフォーマンスクラス1(A1)ランダムリード:1500 IOPS
ランダムライト:500 IOPS
アプリケーションパフォーマンスクラス2(A2)ランダムリード:4000 IOPS
ランダムライト:2000 IOPS
アプリケーションパフォーマンスクラスごとの読み書き回数

なお、A1またはA2に対応していれば自動的にUHS-Iに対応することになります。

ただ筆者の体感ではA1とA2、どちらも同じようなパフォーマンスでした。正確には違いが分かりませんでした。また、アプリケーションパフォーマンスクラスに対応していない製品でも十分に速い場合もあり、「対応しているから絶対に速い!」とは言い切れない状況です。

アプリケーションパフォーマンスクラスに関してはあまり神経質にならず、対応したものを購入する場合もA2ではなくA1程度で問題ないかと思います。

結局どれを選べばいいの?

microSDカードの速度に関して、最大転送速度とスピードクラスの説明をしてきましたが、「結局なにを選べばいいの」という状態になった方、いらっしゃると思います。

速度の速いmicroSDを手っ取り早く選ぶ方法は、

  • UHS-I UHSスピードクラス1(U1)に対応している
  • さらに速度を求める人はUHSスピードクラス3を選ぶ
  • おまけ程度にアプリケーションパフォーマンスクラスに対応している

ものを選ぶことです。

UHS-IIやUHS-IIIに対応したmicroSDは、対応した機器ではより高速に読み書きができますが、ラズパイは対応していないので、UHS-IIやUHS-IIIに対応したmicroSDを買っても速度の恩恵を受けることはできません。使うことはできますが、UHS-Iの速度に落とされるので、もったいない、という結果になります。

microSDカードについて長々と解説してきましたが、まとめると、

用途選ぶ規格
ストレスなく普通に使う場合UHS-I / UHSスピードクラス1
もっとスピードがほしい場合UHS-I / UHSスピードクラス3
用途別の規格

といった感じになります。

以上、読み書き速度の基準をまとめると、以下のようになります。

  • UHS-I / UHSスピードクラス1は最低限ほしい
  • 最速を求める場合はUHS-I / UHSスピードクラス3も考慮に入れる
  • アプリケーションパフォーマンスクラスはおまけ程度に考えてOK

この条件に合ったmicroSDカードを購入すればまず問題なくラズパイを動かせます。

3. 【保証の有無】microSDカードは消耗品なので保証が付いているものを購入

microSDカードを選ぶ際の最後のポイントは「保証の有無」です。

SDカードは書き換え上限回数があります。ラズパイは普通のパソコンのように利用することができるため、読み書きも頻繁に発生します。

おどろくことに、その書き換え回数上限は多くても10,000回、通常出回っているTLCと呼ばれるものでは1,000回と非常に少ないのです。

また、書き換え上限に到達しなくても書込み不良が発生しやすいのがSDカードというもの。

つまり、microSDカードは消耗品なのです。

安いmicroSDカードを買ってはみたものの、使い始めてすぐにラズパイが起動しなくなってしまったといったトラブルは日常茶飯事です。

しかし、メーカーによってはSDカードの保証をおこなっている場合があります。

有名なところだとトランセンドや東芝、サンディスクといったメーカーが保証を行っています。

microSDカードが壊れやすいことを考えると保証が付いているものを選びたいところです。

保証が付かないにしても、SDカードで有名なメーカーのものを買うといったことを徹底していればあまりハズレは引かないで済みます。

ラズパイにおすすめのmicroSDカード3選

以上のポイントを踏まえて、当サイトがオススメするmicroSDトップ3をまとめてみました。

何を買ったらいいのか迷ったときの参考にしてみてください。

SanDisk Extreme SDSQXAA-128G-GH3MA

スピードクラス
UHSスピードクラスUHS-I U3
ビデオスピードクラスV30
アプリケーションパフォーマンスクラスA2
保証期間無期限

まずは定番のSanDisk(サンディスク)Extremeシリーズです。

SanDiskはSDカード界のリーダー的存在で、ユーザーからの信頼も厚い製品です。

この「SanDisk Extreme」はSandiskの中でも上位のモデルに相当するシリーズで、スピード、信頼性共にトップクラスです。

公称書込み最大速度も90MB/sと非常に速いです。

また、保証期間も強気の「無期限」であることから品質に自信があることがうかがえます。

SanDiskのSDカードを買う際の注意点としては、「国内正規品」を購入することです。

Amazonでは「海外パッケージ」というものが売られていたりしますが、海外パッケージのものを購入してしまうと日本国内での保証が受けられなくなってしまいます。

国内正規品のSanDisk Extremeを選んでおけばまず失敗はしないでしょう。

Gigastone 128GB マイクロSDカード

スピードクラスClass 10
UHSスピードクラスUHS-I U3
ビデオスピードクラスV60
アプリケーションパフォーマンスクラスA2
書込み最大速度80MB/s
保証期間5年

ここ最近評判の良い台湾メーカーのGigastoneのmicroSDカード。

ビデオスピードクラスがV60であることから、最低でも60MB/sで書き込めるポテンシャルを持っています。

公称書込み最大速度は80MB/sで、とても速いです。

怪しい会社では?と思うかもしれませんが、日本法人を持っていたり、ニンテンドースイッチの公認を取得するなど、SDカード業界では有名な会社です。

Amazonレビューでも評価が高く、保証期間も5年と長いため、安心して使えます。

キオクシア(KIOXIA) EXCERIA microSD 64GB

スピードクラス
UHSスピードクラスUHS-I U1
ビデオスピードクラス
アプリケーションパフォーマンスクラス
保証期間5年

安心と信頼の国内メーカー「キオクシア」が手掛けるmicroSDカードシリーズ”EXCERIA”です。

2019年に東芝メモリが社名を変更して生まれたキオクシア株式会社は、社名の通り記憶メディアを専門に扱うメーカーで、Amazonでの評価も非常に高いです。

キオクシアの一番のポイントは、国内メーカーでありながらコストパフォーマンスに優れている点です。

2023年4月時点で64GBが780円というのはとても魅力的です。

安いmicroSDカードを複数購入して環境によって使い分けるなんてこともできると思います。

保証期間もしっかり5年間なので、こちらも安心して使えますね。

まとめ

この記事ではmicroSDカードを選ぶ際の3つのポイントを紹介し、ラズパイに最適なmicroSDカードの選び方を解説しました。

大事なデータが消えないよう、バックアップを取ることも大事ですが、まずは有名メーカーのものでしっかりと足元を固めるのが筆者のおすすめです。

microSDカード選びに迷ったときの参考になれば幸いです。

それでは、良いラズパイライフを。

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